HARCO / Ethology

歌中心のスタンダードなポップスを選んで、返って詞とメロディが自由になったかんじ。地味ながら傑作。おもしろいのは、明らかにこの人マリッジブルー。もとからブルーなあれ(あれ)ではあるが、今回は全編通してそればっか。それを素直なポップスに乗せて歌うのはつまり、投げ遺り・やけくそ・思考停止で他に選べない道を歩くように。思ってることぜんぶこの人に先に言われてしまいそうで、ぼくも少しぐらい何か言っとくかって気にちょっとなる。言ってくれるからぼくは言わなくてもいっかって気にもちょっと。

たとえば延々つづく四択クイズ。実は解答ボタンのうち3つは壊れていてひとつしか選べない。仕方なく壊れてないひとつを選びながら進めばそれは偶然で、たまたま壊れてないひとつばかり選びながら他が壊れてることも気づかず進めば必然。結局はどっちにしても同じところを辿る。いつも苦しくて情けないが、仕方ないことに対してはわりと好意的。正直でいたいとか思ってしまったら、まず嘘つき宣言するしかないのだね。